【オカルト】生贄のこっくりさん
164:09/10/29(火)23:16:34 ID:TeQsG7bVO
地方都市から離れても塾があるわけで、自分はそこで中学生相手に英語と数学の講師をしている。
以前から気になっていた事を生徒に聞いたら、その答えはあっさりと分かった。
その疑問とは、「まだこっくりさんって流行ってるの?」というものだ。
最初は訝しげな表情を浮かべた生徒も、自分がオカルト好きだと伝えると、
「嗚呼、先生もそういうのが好きなんですねぇ」と言って、色々と話してくれた。
では生徒から聞いた、ちとエグイこっくりさんの話をUPろうと思う。
元ネタは漫画部の同人作品らしく、過去のものとはいえその中学校では有名なものだった。
何故なら、漫画部の誰かが時に描き直したり手直しをしたりするので、代々読まれる話だそうだ。
その内容は文章にすると長いが、以下のとおりである。
164:09/10/29(火)23:16:34 ID:TeQsG7bVO
その中学校では女の子達の間で、放課後に教室に残って、こっそりとこっくりさんを行うのが流行っていた。
イメージして欲しい。女の子グループというのは派閥があり、中々グループに入れてもらえないものがある。
クラスの中では比較的大人しかったA子は、図書委員ということも相まってクラスに居ない時間が多い。
なんとかグループの仲間に入れてもらえないかと、
図書館の中の本を調べて、調べて、調べて、ついにある方法を発見した。
A子はその本の説明に沿って準備をした。
そして準備が整うと、うきうきとした表情を浮かべて女の子グループが集まる輪の中へ、
「ねぇ、ねぇ」と話を持ちかけたのである。
「聞いて、私凄いこっくりさんのやり方を本で見つけたの」
「凄いこっくりさん?」
「それで、試したいんだけれど、ほら、1人じゃできないでしょう?
だから一緒に手伝って欲しいの、準備はもう整ってるから」
グループの女の子達はA子を賞賛し、放課後に早速実行しようと言って、その日は一緒に行動するようになった。
A子は『これで私もグループの仲間入りだ』と、とても喜んでいた。
164:09/10/29(火)23:16:34 ID:TeQsG7bVO
そして放課後になり、締め切った教室にお決まりの行動。
しかし、人数が1人あぶれてしまったので、
1人は先生の見回りが来たらすぐに知らせる係りとして、教室の外に待機する形となった。
「これ、準備するの大変だったの」
と言って、栄養ドリンクのビンをまだ何も書いてない紙の上に置いた。
全員がこの中身を尋ねると、A子は少し考えて答えた。
「気にしないで、特性のインクだから」
A子は図工の時間に使う絵筆をビンの中に突っ込んで、お決まりの文字をさらさらと書き連ねる。
全ての文字が書き終わると、下敷きを使って乾かし始める。
乾くとその文字が赤い鉄錆のような色に変化するが、太陽が完全に沈み、ようやくスタートできる状態になったのである。
10円玉の上に全員が指を置き、例の呪文を唱えた。
するすると水分を吸って波打つ紙の上を10円玉がすーっと動いて、降臨したことを知らせる。
グループの女の子達は授業中に何を質問するのかを考えており、それを質問した。
その子はクラスの男子にからかわれたので、その事について尋ねた。
「あいつが今日、私に悪口を言ったので、仕返しがしたいです。どうしたら良いですか?」
10円玉がすーっと動いて示した文字は、『い・な・く・な・る』であった。
女の子達はその言葉が示すことの意味が掴めなかったので、引越しするのだろうと結論付けた。
「今度の木曜日にテストがありますが、私達、勉強が嫌いなので、答えを教えて下さい」
流石に教えてくれるわけないと、女の子達はにやりと笑って見せた。
また10円玉がすーっと動いて、『はい』で止まった。
そして、10円玉は文字を示していった。
『な・く・な・る』
テストその物がなくなるという事なのか、その場でその答えを予測できるような人物はいなかった。
しばらくして、お決まりの文句を言って鳥居から帰ってもらおうとしたが、『いいえ』で止まる。
こっくりさんは、最後に必ずお帰り頂かないとならないのは鉄の掟である。
何故帰ってくれないのかを問うと、『か・え・ら・な・い』や『さ・み・し・い』などとグルグル巡るようになった。
グループの女の子達は、言い出しっぺのA子に非難の言葉を浴びせた。
その声を聞いて、外の子が「どうしたの?」とドア越しに聞きに来る始末。
折角グループに入れて貰えたと思ったA子は、10円玉に向かってある提案をした。
「こっくりさん、私の家にいらっしゃいますか?」
こっくりさんを家に連れて帰ることで、この場を収めようとしたのである。
その申し出にこっくりさんは『はい』と10円玉を止め、鳥居からA子に憑いて帰る気になった。
グループの女の子達は「これで安心して帰れる」と言って、校門の前でさようならと言って帰っていった。
164:09/10/29(火)23:16:34 ID:TeQsG7bVO
次の日、悪口を言った男の子は学校に来なかった。
先生は朝の会で、その子が事故で重症となり、今入院していると説明した。
グループの女の子達は恐怖と驚愕の表情で顔を見合わせた。
グループの女の子達はA子に詰め寄り、説明を求めるが、
A子は自分の功績だと言わんばかりに手を叩いて喜んだのである。
「ね、やっぱり私のこっくりさんは凄いんだ。やったね」
「ウチはそんなつもりで聞いたんじゃない!あいつが死んだら、どうするの!?」
「いなくなるんだから、あの時どおりに引越ししたと思えば良いんだよ」
グループの女の子達は全員A子が怖くなり、
自分達に何か災いが降りかからないかと戦々恐々として、下校の時刻を迎えた。
先生は帰りの会で、明日のテストについてしっかりと復習しておくようにと念を押して、その日の学校は終わった。
次の日の朝、緊急連絡網が生徒の各家庭に届き、
学校に不審者が侵入して様々な物が盗まれ、壊された為に休校となったのだ。
グループの女の子達は公園に集合し、
すぐにA子の家に突撃するべきか否かを相談し、昼過ぎにA子の家に行くことにした。
164:09/10/29(火)23:16:34 ID:TeQsG7bVO
A子の家のチャイムを鳴らすと、A子とその母親が出迎えてくれた。
母親は「今から皆の為にケーキを買って来るから」と言って、家を出て行った。
そしてグループの女の子達は、「今朝の事件も、こっくりさんの仕業?」と尋ねた。
A子は暫く宙を見据えてから、肯定の意を示した。
グループの女の子達は恐ろしくなり、出来るだけA子から遠ざかろうとした。
その恐れの表情に、A子は『折角仲良くなったのに・・・!』と、何とか引き止めようと手を伸ばした。
「待って、大丈夫だから みんなが危なくなるような事はないから・・・大丈夫だから!」
「何でそんなの分かるのよ!」
「みんなの分の身代わりはもう立てたんだもん!!」
それから回想シーンに入る。
こっくりさんをする時に使った、栄養ドリンクのビンに入っていた特性インク。
あれは赤い絵の具と、人数分の小動物から採った血だった。
その情景は、作者が技術的に描けなかったのか、黒塗り背景に音だけが描かれていた。
そして、手当てされた犬猫に向って「ごめんね」と言う女の子。
・・・というコマで回想シーンおよび説明が終わり、それを聞いたグループの女の子達は恐怖の表情を浮かべている。
「それに、みんな何もしないって言ってるから、大丈夫だよ」
「言ってるって、何・・・?」
A子の部屋にはA子とグループの女の子達だけではなく、何人もの黒い人型がいて、彼女達を囲っていた。
164:09/10/29(火)23:16:34 ID:TeQsG7bVO
このような内容だった。
ストーリーと台詞を簡単に書き出してみたが、なかなか恐ろしい内容になってしまった。
話を聞いたときは、自分も『中学生の癖にエグイ内容を考えるなぁ』と思ったが、
実物の漫画を見せてもらったら、現代風の3頭身キャラクターで描かれていて可愛かった。
しかし、女の子が『身代わりはもう立てた』って、『手当てされた犬猫』だよな。
その何の罪も無い犬猫達が、一生を終えるまで呪いを背負っていかなければならないかなと思うと、やはり恐ろしい。
最後に自分は、漫画を紹介してくれた生徒に「この内容どおりに試した生徒とか、居たりする?」と聞いた。
「さぁ、先輩は居たって脅かしますけれどね、実際はどうかは分かりませんよ」
生徒は信じてないようだったが、実際やる生徒は居ると思う。
自分が過去に受け持った生徒にも、人と話すのが苦手で、注目を集めようと奇抜な事をしてしまう子が居たからだ。
もしもその子がこの漫画を読んでいたらと思うと、ぞっとしてしまう。

キキ
傷付ける事に何も感じない人間にしか出来ないと思う。
自分のやった事が全部自分に返って来る世の中だから、注目が集まってもすぐに自滅してしまうだろうね
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いるで