【霊界】雨の谷の住人
250 :本当にあった怖い名無し:2011/08/14(日) 03:18:26.89 ID:K4rkIaY0I
小学生くらいの話。
親戚の家が辺鄙な場所にあったんだ。
裏手には山、逆かわには谷。子供の遊び場としては最高だったんだけど。
んで、谷にはよくゴミが捨てられる。山の中を走る国道沿いにあるせいだろう。
遊びに行った時も、たまにゴミ拾いをさせられた。
結構深い谷に落ちてるゴミを掃除するのはたいへんだった。
しかし、ゴミの中で唯一「拾わなくていい」と言われたものがあった。
それは傘だった。
251 :本当にあった怖い名無し:2011/08/14(日) 03:43:23.11 ID:K4rkIaY0I
「どうして傘を拾わないの?」と聞くと、決まってみんな「あれはゴミじゃないから」と答える。
ごみじゃない?どう見たって汚い傘じゃないか。と思い、親戚の叔父さんに詳しく聞いてみた。
叔父さん曰く、「あれは谷の置き傘だ」と。
誰が始めたのかは分からないが、谷に傘を置いておく風習があるらしい。
「どうして?」と聞くと、
「谷の住人がつかうんだよ。言ってみれば、この世とあの世の間にいるもんだな。谷にはそいつらが住んでる。
んで、雨嫌いだから、傘がないと濡れて怒っちゃうんだと。そしたらよくないことが起こる。
だから傘を置いてるんだ」
「よくないことって?」
「よくは分からん。でも、鵺が鳴く夜は人が死ぬっていうだろう?そんな感じの言い伝えだよ。
谷が濡れる日は災いが起こる」
252 :本当にあった怖い名無し:2011/08/14(日) 03:47:53.89 ID:K4rkIaY0I
谷ではよく遊んだけど、谷の住人に会うことはなかった。
でも、ポツンと傘がある光景は異様だったと覚えている。
結局、その谷も開発のため埋め立てられて、いまは運動公園になっている。
谷の住人たちはどこにいったのか。
もしかしたら埋め立てられた場所にまだいて、もう雨に濡れることはないと喜んでいるのかもしれない。
谷はあの世とこの世を行き来する事ができる空間という話はよく聞くよね
だからこそ変わった風習や習わしがあるというのも頷ける
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