【後味の悪い話】みんなで出し合った盆栽
497 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/12 01:15
うちの近所に古い家がありまして、老夫婦が住んでいました。
お婆さんは去年までご存命でしたが、お爺さんは15年ほど前、僕が小学校を卒業する前に亡くなりました。
偏屈のカミナリ親父として有名な人で、
すぐ目の前の空き地で野球やサッカーをして、ボールが敷地に入ってしまったときなんて、
ほんとに漫画のように「コラー!」って、良く思い切り怒号が飛んできたりしました。
僕が4年生くらいのことだったと思います。
賞を貰ったとかでお爺さんがとても大切にしていた盆栽を、サッカーボールで木っ端微塵にしてしまったことがあります。
お爺さんはあまりのショックで、怒鳴るどころか寝込んでしまい、
さすがの両親も驚いて、菓子折りを持って謝りに行きました。
僕も一緒に謝りに行かさせられたんですが、
そのときのお爺さんは、いつものカミナリ親父とはまるで別人のように、生気が抜けてしょんぼりしてしまっていて、
僕も子供ながらに、罪悪感でいっぱいになってしまいました。
お爺さんは、それからしばらく寝たきりになりました。
498 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/12 01:16
僕ら悪ガキたちは、その空き地ではボール遊びをしなくなりましたが、
盆栽のことでずっと負い目を感じていて、許してもらえないとすごく気持ちが悪かったので、
何かお爺さんの満足することをして許してもらおうと、
自分たちの小遣いを集めて盆栽を買い、お爺さんにプレゼントすることにしました。
当時の小学生のお小遣いといったらたかが知れていて、頑張っても結局5人で2万円程度しか集まりませんでした。
でも、盆栽一つなら賞を貰う程でなくても、まぁまぁ良い物を買うことは出来ます。
もちろん僕らには解らない世界ですから、近くの盆栽園でおじさんに選んでもらって購入。
みんなで届けに行きましたが、お爺さんはまだ起き上がることが出来ず、代わりにお婆さんに受け取ってもらいました。
お爺さんが受け取ってくれたかどうか心配で、
数日後、物陰から庭を覗いてみたら、他の盆栽と一緒に僕らの盆栽も並んでいて、
回復したお爺さんが、丁寧にそれに水遣りしているのが見えて、
僕ら全員、ホッと胸を撫で下ろしたものです。
499 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/12 01:16
それからしばらく、僕ら全員その家には近寄らなかったのですが、
6年の夏休みの頃、お爺さんが肺炎で亡くなったという知らせを受け、
僕らは日を見てから、再び庭を覗きに行くことにしました。
今度はきちんとお婆さんに許可をもらって、庭を見させてもらいました。
お爺さんが亡くなってすでに二ヶ月ほど経っていましたし、腰の悪いお婆さんは庭仕事ができない為、
盆栽はどれも少し荒れてしまっていました。
僕らのあげた盆栽がどこか少し探して回りましたが、そのうちに一人が「あ!」と素っ頓狂な声を上げました。
駆け寄ってみると、大きな盆栽の影に隠れるように僕らの盆栽が置いてありました。
それを見た僕らは、その場で凍りついたように呆然としてしまいました。
そのときのショックは今でも忘れることが出来ません。
盆栽の幹に僕ら全員の苗字が乱雑に彫られ、数十本の釘が深々と打ち込まれていたのです。
盆栽って何年も掛けて育てるものって聞いたよ
それを壊されたらそりゃショックでしょ・・・
後味悪い話だね
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